銀棺の一角獣
「わたし……あなたを――」

「……それ以上は、いけません」


 ルドヴィクの指がアルティナの口に押し当てられて、アルティナの言葉も封じられてしまった。

 そのままどちらも動こうとはしなかった。

 長い長い沈黙の間、ただ、見つめ合って――それだけで満たされるはずはないのもわかっていた。


「アルティナ様……」


 やがて、口を開いたのはルドヴィクだった。


「あなたを――愛しています。あなただけを、一生想い続けます――ですから、あなたが嫁ぐ日にはどうかわたしを国に残してください――過ちを犯さないですむように」


 アルティナは彼の瞳を見ないですむように、自分から瞼を閉じた。ルドヴィクの言いたいことはわかる。

 今はまだこんな状況だから――ぎりぎりのところで踏みとどまっていられる。

 けれど、世の中が平和になった後、キーランのところにアルティナが嫁いだとしたら。
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