銀棺の一角獣
 アルティナはルドヴィクの肩に寄りかかった。やはり剣に力を吸い取られてしまったのだろう。疲労感が重くのしかかってくる。あの行為に何の意味があったのか、ティレルが元気を取り戻したら聞いてみなければ。


「……キーラン様は……大丈夫かしら」


 アルティナは小さくつぶやいた。ここにはいないけれど、彼もまた別の場所で戦っている。


「キーラン様は……強いお方です。負けるようなことはありませんよ」

「ええ、そうね……そうだわ、強いお方よ」


 アルティナは自分に言い聞かせるように繰り返した。

 キーランは、確かに見た目は頼りないけれど、あのライオールに立ち向かうだけの勇気を持っている。今頃は神殿で全ての力を捧げてくれているのだろう。

 何も返せないアルティナのために、彼は全てを与えてくれた。ルドヴィクと接する時間まで、アルティナのために作ってくれて。

 彼と再会することができたなら――今度こそ、正面から彼と向き合おう。彼の誠意に応えるにはそれしかないから。


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