銀棺の一角獣
 今までの何倍もの速度で彼は進み、三日後には都に帰り着いていた。

 ――正確には都の少し手前に。


「……囲まれているな」


 アルティナたちが脱出した時より、はるかに兵士の数は増えているようだった。ライオールの兵士達は、都の周囲を囲んでいた。都の周囲を囲む壁はところどころ崩れ落ちている。


「……どうなさるおつもりですか?」


 ルドヴィクは静かに問う。都を囲む兵士の数は膨大で、彼らに見つからずに都に入り込むのは難しいと思われた。


「……兵達はすぐに動けないさ」


 ティレルは自信満々だった。


「ライオールの雰囲気を感じないからな――キーランがうまくやってくれているのだろう。大丈夫だ。暗くなるまで待て」


 都は取り囲まれているけれど、敵の方も攻撃するつもりはないようだった。ただ、都への出入りを阻むかのように厳重な警戒態勢を敷いている。
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