銀棺の一角獣
 あくまでも礼儀正しく、彼はその手を受け取った。そうして、アルティナを部屋の外へと連れ出す。

 ティレルは庭の四阿にいた。ゆったりと尾を振って、差し入れられた果物の最後の一口を飲み込む。


「キーランは?」

「まだ熱があって……ゆっくりお休みいただこうって」


 アルティナはうっすらとした微笑みを口元に浮かべた。それからティレルの首に額を押しつける。


「……大丈夫、でしょう? もうキーラン様にはお休みいただいても平気でしょう? これ以上儀式を続けたら、あの方の身体がもたないわ――」

「……そう思うか?」


 ティレルは額を押しつけているアルティナの方へと首を傾けた。そうするとよりいっそう彼との距離が近くなる。


「アルティナ」
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