銀棺の一角獣
「そうね。わたしも覚えているわ。金と銀の美しい鎧があった。首の周囲に宝石をあしらって――」

「それだ。紫水晶だろう?」

「……紫水晶と水晶、それに――黄色の美しい石がはめられている……そうでしょう?」

「ああ、そうだ」

「手持ちの衣装の中から一番美しい物を見つけてそれを着ろ。俺に乗って、軍の先頭に立つんだ――美術室の鎧も着て、な」


 ティレルの言いたいことが、アルティナにはわかるような気がした。


「兵たちの士気を高めろ、と言いたいのね?」

「そうだ」


 ティレルはアルティナの額に、自分の顔を押しつけた。額の中央に真っ白な角が生えているから正面から向かい合うことはできない。


「わかったわ。やってみる」

「ルドヴィクの美々しく装わせろ。彼の馬もな」

「ええ、ええ、わかったわ。急いで支度させる」


 アルティナはその足で美術室へと向かう。途中で宰相に使いを出すのを忘れないようにした。
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