銀棺の一角獣
「そうね、まずはお風呂を。それから軽食をいただいて、ドレスに着替えるわ。ドレスは荷物の中に入っているから、皺を伸ばしてもらえるかしら?」

「かしこまりました!」


 ケイシーは、命じられた通りに湯殿の用意に飛んでいく。


「お風呂にお入りになっている間に、荷物を解いちゃいますから!」


 アルティナは、用意された湯殿に入った。ケイシーが用意してくれたお湯はちょうどいい温度で、長旅の疲れがほぐれていくような気がする。

 ゆっくりと身体を洗い、アルティナが出るとケイシーは身体を拭くのにも手を貸してくれた。

 一度柔らかな部屋着に着替えて、アルティナはテーブルにつく。そこにはパンと野菜スープに果物、それにお茶が置かれている。


「こんなもので大丈夫でしょうか?」


「ええ、十分よ。ありがとう」


 アルティナは礼を言って、パンに手を伸ばした。食欲はあまりないが、食べられるだけ食べておかなければ――これから先の長々と続く儀式を耐えることはできないだろう。


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