銀棺の一角獣
 兵士たちの集まっている広場へとアルティナは向かう。そこにはほぼ全ての兵士たちが並んで女王を待っていた。

 ティレルにまたがったアルティナが彼らの前に進み出ると、感嘆の声が上がった。

 その日のアルティナは美しかった――過酷な旅によって、痩せてしまってはいたけれど、それが逆に彼女の美しさに凄惨な迫力を追加していた。

 侍女たちが知恵を振り絞って完成させた装いも、十分以上の効果を発揮している。その場に居合わせた誰もが目を奪われた。


「ティレル」


 アルティナはティレルの背から滑り降りると、そっと彼の首に手をかける。自分の方へと引き寄せて抱きしめた。


「我が国をずっと守ってきてくれた一角獣が、ここにこうして姿を現してくれました」


 アルティナは兵士たちを見つめながら語りかけた。
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