銀棺の一角獣
心に剣を
 本来ならばティレルも出るはずだった。けれど、最悪の事態になったらアルティナとキーランを逃がしてほしいとルドヴィクに懇願されて、最終的にはアルティナの側にいることを受け入れた。

 アルティナとキーランが無事ならば、ここで負けることになったとしても――なんとか撤回できるかもしれない。

 アルティナの位置からも、ルドヴィクはよく見えた。騎馬の一団が、彼を中央に、紡錘形となってディレイニー軍へとつっこんでいく。

 目指すのはライオール一人。先頭の騎士が倒れれば、また別の騎士がすかさず先頭に立ち、ディレイニー軍を突っ切ろうとした。

 ライオールは陣の後ろの方にいた。天幕の前に立って腕を組み、無表情に戦いを眺めている。

 アルティナのいる場所からは、ライオールの表情まではうかがえなかったのだけれど、ティレルがそれを教えてくれた。
< 268 / 381 >

この作品をシェア

pagetop