銀棺の一角獣
 ライオールが息子の名を呼んだ。アルティナはルドヴィクに合図する。


「肩をお貸しして」


 ルドヴィクに抱えられてようやく立ち上がったライオールは、まじまじとアルティナを見つめた。


「――アルティナ姫」

「いえ……女王です。ライオール陛下――キーラン様は……」


 アルティナは視線を落とした。きっと彼も見ているはずだ、キーランが自らの胸に刃を突き立てるのを。アルティナと視線を合わせたライオールの瞳が曇った。


「……そう、だったな……」


 なんと言えばいいのだろう。アルティナは唇を震わせ、目をぱちぱちさせて涙をこらえようとした。


「いや、生きてるぞ」


 しれっとした顔でティレルは言い放ち、アルティナは目を丸くした。


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