銀棺の一角獣
 両軍の間には、ただちに停戦の約束がなされた。

 アルティナ達は先に王宮へと戻り、ライオールは一時間後に最低限の護衛だけ連れて入ることになった。こちら側にもライオールを受け入れる準備が必要だ。

 倒れた兵士達の手当は両軍が協力して行うこととし――遺体はそれぞれの陣営に運ばれることまでその場で決められる。

 アルティナはティレルの背に乗っていた。


「――生きているって……どういうこと?」


 鼻高々とティレルは言い放った。


「あれは芝居だ」

「芝居……ですって?」

「キーランの身体にも魔が巣くい始めていたのは事実だ。それをあの短刀で払ったのも」

「でも、血が出てたわ……」

「あれは、神官着の中に仕込んでおいた豚の血だ。あとは簡単。キーランが短刀を突き立てるのと同時に、体の中に巣くっていた魔を払った――俺が、な」
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