銀棺の一角獣
「ご帰国の護衛計画を立てねばなりません――わたしは先に失礼いたします」

「僕も行くよ。いろいろとデインには頼みたいこともあるしね」


 キーランとデインが去って、アルティナだけが残される。皿に残された最後のケーキを手にして、アルティナはティレルの方を向いた。


「食べる?」

「もらおう」

「みんな行ってしまうのね」


 アルティナは嘆息する。


「しかたがないだろう? 全ては片づいたのだ。そうなれば皆、あるべき場所に帰る。当然だ」

「――寂しくなるわ」


 今までは忘れていられた。目の前に大きな目的があったから。それがなくなった今、皆が帰るのは当然だとはわかっている。それでも、残る寂しさはどうしようもなかった。


「そうだな、寂しくなる」

「あなたも帰ってしまうの? リンドロウムの森へ」
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