銀棺の一角獣
「わたしもですね、出世したんですよ!」


 えへんとケイシーは胸を張る。


「出世って?」

「ライオール陛下の側仕えの侍女になりました! 将来はこのまま侍女頭目指して出世街道一直線ですよ!」


 ケイシーは王宮に上がる身としては、それほど位が高いというわけではないのだそうだ。

 だから、適当な時期が来たら王宮を下がるつもりだったらしいけれど――あの戦乱の場で自分の身を守りきり、国に帰る手段まで確保した頭の回転の良さを買われたのだそうだ。


「今回、こちらに来たのはどういった用件なのかしら」

「ちゃんと一角獣を見たかったんです!」


 ケイシーは目をきらきらとさせている。


「森に帰っちゃったかもしれないって思ったんですけど、まだいるなら会えるかなって――陛下に無理言っちゃいました」
< 315 / 381 >

この作品をシェア

pagetop