銀棺の一角獣
 アルティナの忠実な宰相は、三年たった今は、アルティナの父親代わりのようなものだった。

 この国がそれなりに回っているのは、彼の手によるところが大きい。


「大丈夫でしょう。問題ありません――一月後には送り出せますよ」


 デインはアルティナの命令を実行するために席を立つ。騎士であるルドヴィクはこの場には居合わせなかったから、残されたのはアルティナとキーランだけだった。


「ねえ、アルティナ」


 書類の山を崩し終えたキーランは、アルティナの顔を見つめた。


「いつまでそうしているつもり?」

「そうしてって――」

「ルドヴィク」


 あげられた名前に、アルティナの眉が寄った。
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