銀棺の一角獣
「いつまでルドヴィクを待たせておくつもり?」


 そう、キーランは言ったのだった。


「いつまでって……だって、今はそれどころじゃなくて……」

「本当に?」


 重ねて問われてアルティナは狼狽えた。いつまでも、このままではいられないことくらいわかっている。

 アルティナを見つめる彼の瞳に、狂おしいほどの恋情がこめられていることも知っている。同じ目でアルティナも彼を見つめているから。

 けれど、未熟ながら女王として責務に負われていると、ここから先に踏み出す勇気を持つことができなかった。

 今はいい。

 彼はアルティナの筆頭騎士だ。ただ、アルティナの安全だけを考えていればいい。けれど、女王の夫となれば話は変わる。
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