銀棺の一角獣
 彼の肩に国という重みを載せるのはためらわれて――それならば突き放せばいいのに、そうしないのはアルティナが彼を必要としているから。

 女王として即位した時、あまりにも未熟だった。

 今でも女王の勤めを立派に果たしているなんて思えない。不安に押しつぶされそうになった時、彼の手を握るだけで安堵することができた。


「難しく考えすぎなんじゃないの?」


 キーランは笑った。


「あんまり待たせるのも気の毒だと思うよ? 国のことを考えるのも立派だけどさ。それは女王として当然ではあるんだけど……ルドヴィクだってアルティナだって幸せになってもいいんじゃない?」

「そう……かしら……」

「僕の国だって大変だよ。父上が――めちゃめちゃにしてしまったからね。それでも、一番上の兄も、二番目の兄もちゃんと結婚したんだから」
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