銀棺の一角獣
「あなたも、でしょう?」


 今度の彼の笑いは照れくさそうなもので――それを見ているだけでアルティナもまた幸せな気分になる。


「そうね、考えてみるわ。自分も幸せになれる道を……」


 そうキーランに宣言したことを思い出したアルティナは、そっとルドヴィクの顔を見上げた。絡められた指はそのままだ。


「どうかしましたか?」

「……いいえ、何でもないの」


 何年たっても慣れない。彼の瞳に見つめられるだけで、頬に血が上るのを感じる。視線を感じて顔を上げると、キーランがこちらを見ていた。しきりにテラスへ出るように合図している。


「キーラン殿下は……どうなさったのでしょうか」


 それに気がついたルドヴィクは不思議そうな顔をする。
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