銀棺の一角獣
「一つだけ教えてもらってもいいかしら?」


 婚儀を終え、王宮のテラスから集まった民衆に手を振る。テラスに並んだ二人には、惜しみない歓声が降り注いだ。

 銀の女王と金の騎士。棺からよみがえった一角獣と隣国の心優しい王子の物語は吟詠詩人たちによって広く伝えられるようになっている。伝えられる間に、物語は何倍にも膨れ上がっていた。


「――何ですか?」

「あの時……、キーラン様が胸に短剣を突き立てたあの時。……あなたも、知っていたの? あれはお芝居だって」


 ずっと胸に残っていた疑問だった。
< 350 / 381 >

この作品をシェア

pagetop