銀棺の一角獣
「さーて、湯に入るか。おまえたちも一緒にどうだ?」


 ティレルは立ち上がると、ぶるりと身を震わせる。それから、ティレルが入ってもまだ余裕のある浴槽へと脚を踏み入れ――と思ったら、いきなりそこへ飛び込んだ。

 湯が思いきり跳ね上がって、侍女二人がずぶ濡れになる。


「キャー!」


 クレアが悲鳴を上げた。


「ティレル様、必要以上にお湯を跳ねないでくださいと何度もお願いしたはずですが?」


 そう言ったサリィも次の瞬間、派手に悲鳴を上げることになった。ティレルがお湯に顔をつっこんで、サリィへかけたからだ。


「ですから! お湯をばしゃばしゃやらないでください!」


 サリィはスカートの裾を膝の上へと持ち上げると、そのままじゃばじゃばとお湯の中に進んだ。
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