銀棺の一角獣
「ライオール、と呼ぶのではなかったのか?」
「ベッドの中だけのお約束です。殿下はもうベッドを離れていらっしゃいますから」
本当はベッドの中でも恐れ多いのだとアシュリーは思う。なにしろ相手は繁栄を誇っているディレイニー王国の皇太子なのだから。
アシュリーより三歳だけ年長の彼は、二十一。アシュリーは十八になったところだった。
「お前はまだベッドの中だ」
「いえ――もう、出ました」
下着だけを身につけた状態で、アシュリーはするりとベッドから抜け出した。
「泊まっていけばいい。この部屋はお前のための部屋だ」
「ご冗談ばかり。昨日は違う女性が宿泊したではありませんか」
声音は軟らかいのに、言葉は辛辣だ。つい今しがたの行為でライオールが剥ぎ取った衣類を、一つ一つ探し出して身につけていく。ばらばらに乱された髪を鏡も見ずに器用にまとめて、ライオールの方を振り返った。
「ベッドの中だけのお約束です。殿下はもうベッドを離れていらっしゃいますから」
本当はベッドの中でも恐れ多いのだとアシュリーは思う。なにしろ相手は繁栄を誇っているディレイニー王国の皇太子なのだから。
アシュリーより三歳だけ年長の彼は、二十一。アシュリーは十八になったところだった。
「お前はまだベッドの中だ」
「いえ――もう、出ました」
下着だけを身につけた状態で、アシュリーはするりとベッドから抜け出した。
「泊まっていけばいい。この部屋はお前のための部屋だ」
「ご冗談ばかり。昨日は違う女性が宿泊したではありませんか」
声音は軟らかいのに、言葉は辛辣だ。つい今しがたの行為でライオールが剥ぎ取った衣類を、一つ一つ探し出して身につけていく。ばらばらに乱された髪を鏡も見ずに器用にまとめて、ライオールの方を振り返った。