銀棺の一角獣
「殿下のお情けを頂くようになって三年です。その間、殿下のお側には何人もの女性がいらしたでしょう?」


 何か言おうとしたライオールをアシュリーは手で制した。


「いえ、それはよいのです。しょせんは父によって差し出された身。殿下のただ一人の恋人でありたいと、そのような大それたことを望んでもおりません……ですが」


 ごくわずかにアシュリーの瞳が揺れた。


「三年はあまりにも長すぎます……それだけの期間お情けを頂いているのが、わたくしのみとなればなおさらのこと。最近周囲が騒がしくなってまいりました」

「周囲が、騒がしい、だと?」

「わたくしを利用しようとしている者があまりにも多すぎるのです、殿下。このままでは……ご迷惑をおかけしてしまいますから」
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