銀棺の一角獣
 周囲の話に寄れば、当時十歳だった彼女は、その頃から輝くような美少女だったという。

 美しくなるであろうことを確認してから初めて手元に引き取り、教育を与え、手駒として利用できるだけの娘に仕上げたのだ、とライオールに語ったのはアシュリー自身。

 そんな彼女は十五になるのと同時に、ライオールの前に差し出された。投げ出す、と言った方が正しいかもしれない。伯爵の家に招かれ、したたかに酔わされた――何か薬物が混ぜられていたとしても驚かない――ライオールの前にあらわれたのがアシュリーだった。

 二十歳過ぎた今ならばもう少し自制もできようが、当時は成人したばかり。事前に看護に来た娘には手をつけてもいいと言われていたし、前後不覚に酔っていてそんなことができるはずもなく――彼女が泣いているのに気がついたのは全てが終わってからだった。
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