銀棺の一角獣
銀の棺
 翌朝の目覚めは、それなりに快適だった。一晩中続いた、工事の物音も気にならずぐっすり眠れたからだろうか。

 少なくとも長旅の疲れは、ほぼ完全に抜けていた。これで、今日の棺の引き渡しの時にも気を張っていられる。


「おはようございます! 騎士様たちが、続きの間にいらしてますよ。お天気がよくて、いい一日になりそうですね!」


 何がいい一日なのだ、とは言えなかった。ケイシーには悪気などないのは、昨日と今日のごくわずかな時間でもよくわかったから。

 室内を暗くしていたカーテン引き、窓を大きく開け放って心地よい空気を部屋に入れたケイシーは朝から元気いっぱいだった。

 その元気を羨ましいと思いながら、アルティナは朝の支度を始める。

 ベッドに運ばれてきた朝食は、アルティナの頼んでおいたとおりに果物を中心とした軽いものだった。果物と甘くふわふわとしたパンを食べて洗面をすませる。

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