銀棺の一角獣
　窓を壊し、壁に棺を入れるための穴を開けた部屋は、昨日の広間よりは二回りほど小さな部屋だった。

　それでもかなりの広さがある。床には複雑な模様を織り込んだ絨毯が敷かれていた。　破壊された壁の向こう側には、馬車から下ろされた棺が運び入れられるのを待っている。

　部屋の中央にはライオールが息子のキーランを従えて立っていた。アルティナたちが入室すると、彼はアルティナを手招きする。

　アルティナの連れてきた騎士たちは、部屋の片隅にと追いやられた。彼らからアルティナの姿を隠すように、その前にディレイニー国の貴族たちが並ぶ。

　昨日の婚約の儀には彼らを呼ばず、今日は同席させる――国力の差を見せつけたいのだろうとアルティナは判断した。いや、必要以上にこちらを辱めたいのかもしれない。

　けれど、アルティナにはそれを見抜くための経験が圧倒的に足りていなかった。

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