銀棺の一角獣
「聞きたいことがあったのでは?」


 ライオールの方からアルティナを促した。


「……なぜ」


 重ねて問われてようやく口を開くが、あまりにも小さな声になってしまった。呼吸を整えて、アルティナはやり直した。


「なぜ、我が国の――一角獣を欲しがるのです? 貴国には守り神など不要でしょうに」


 奇妙な音がした。それが彼の喉から発せられていると気づくのに少し間が空く。喉の奥で笑いながら、ライオールは言った。


「確かに我が国には必要ないな――守り神など、な」


 ライオールの代になってから、ディレイニー国に飲み込まれた国はどれだけあるのか数えればきりがない。

 ライオールは少し身をかがめて、アルティナの瞳をのぞき込んだ。冷たい光を放つその瞳に縛られたように動けなくなってしまう。
< 42 / 381 >

この作品をシェア

pagetop