銀棺の一角獣
「一つは――」
室内をアルティナの瞳がさまよう。部屋の隅に立っているルドヴィクのところでその視線はとまり、そしてそのまま伏せられた。
「第三王子カーラン殿下とライディーア女王の婚姻」
室内がざわざわとする。そしてアルティナが右手を上げるのと同時に、そのざわめきは静かになった。
「もう一つは――我が国の守り神――一角獣を引き渡すこと」
緑豊かなライディーア王国は、何年もの間銀の棺におさめられた一角獣を奉っていた。それは国を守り、豊かにしてくれると言い伝えられている。いつからそれが王宮に奉られているのか――それを知る者はいない。
ライディーア王宮の一番奥にある棺の間は、年のうち十回ほど、決められた日に決められた儀式を行う時以外開けられることはない。
ライディーア人にとって、一角獣は神聖なるものであり、儀式の時以外は眠りを妨げないためにその部屋には近づかないのだ。
棺を安置されている部屋から持ち出したことなど、建国以来初めてのこと。集まった貴族たちがざわめくのも当然のことだった。
室内をアルティナの瞳がさまよう。部屋の隅に立っているルドヴィクのところでその視線はとまり、そしてそのまま伏せられた。
「第三王子カーラン殿下とライディーア女王の婚姻」
室内がざわざわとする。そしてアルティナが右手を上げるのと同時に、そのざわめきは静かになった。
「もう一つは――我が国の守り神――一角獣を引き渡すこと」
緑豊かなライディーア王国は、何年もの間銀の棺におさめられた一角獣を奉っていた。それは国を守り、豊かにしてくれると言い伝えられている。いつからそれが王宮に奉られているのか――それを知る者はいない。
ライディーア王宮の一番奥にある棺の間は、年のうち十回ほど、決められた日に決められた儀式を行う時以外開けられることはない。
ライディーア人にとって、一角獣は神聖なるものであり、儀式の時以外は眠りを妨げないためにその部屋には近づかないのだ。
棺を安置されている部屋から持ち出したことなど、建国以来初めてのこと。集まった貴族たちがざわめくのも当然のことだった。