銀棺の一角獣
 予想はしていた。考えたくもなかったのだけれど。あの混乱の中、全員が助かるはずはないのはわかっていた。けれど、それが現実のものになると一気に身体が重くなったように感じられる。


「あのっ……」


 ルドヴィクの名を出すことはできなくて、アルティナはうつむいてしまった。ルドヴィクの名前を出したところで、キーランにわかるとも思えなかった。彼に護衛の騎士たちの名前までは伝えていない。


「……どのくらい……生き残っているのですか?」


 かわりに人数だけをたずねた。


「五名」


 ルドヴィクが口にした人数に、扉にもたれかかるようにしてアルティナは床の上に座り込んでしまう。座り込んだ石の床は冷たかった。


「……そんな……」


 国元から連れて出たのは二十人。それが残り五人しかいないということは――被害の大きさにアルティナの目から涙がこぼれ落ちた。
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