銀棺の一角獣
「わたしは……、わたしはその条件を受け入れようと思います」
即位したばかりの女王の決意に、ざわついていた室内は静まり返った。何人かが振り向いて、ルドヴィクの表情を確認しようとする。
アルティナは、ルドヴィクとは視線を合わせようとはせず、そのまま話し続けた。
「停戦条約を結ぶためにディレイニー王国を訪問します。そのまま向こうで結婚式を挙げて、夫とともに戻ってくることになるでしょう」
そこで一度言葉を切り、彼女は側に控えている宰相デインを見やった。
「戻ってくるまでの間の政務は、宰相に一任します――よろしいですね?」
「かしこまりました」
宰相は恭しく一礼した。その瞳には驚嘆の色が浮かんでいる。
まだ十七になったばかり――つい先日まで皇太子がいたから、君主として国を統治するための教育はそれほど受けてはいないはずだ。
それでも、彼女は必死に国をまとめ上げようとしている。細い肩に、重圧を背負いながら。
「でも――よろしいのですか? あれを渡しても――いえ、それより」
即位したばかりの女王の決意に、ざわついていた室内は静まり返った。何人かが振り向いて、ルドヴィクの表情を確認しようとする。
アルティナは、ルドヴィクとは視線を合わせようとはせず、そのまま話し続けた。
「停戦条約を結ぶためにディレイニー王国を訪問します。そのまま向こうで結婚式を挙げて、夫とともに戻ってくることになるでしょう」
そこで一度言葉を切り、彼女は側に控えている宰相デインを見やった。
「戻ってくるまでの間の政務は、宰相に一任します――よろしいですね?」
「かしこまりました」
宰相は恭しく一礼した。その瞳には驚嘆の色が浮かんでいる。
まだ十七になったばかり――つい先日まで皇太子がいたから、君主として国を統治するための教育はそれほど受けてはいないはずだ。
それでも、彼女は必死に国をまとめ上げようとしている。細い肩に、重圧を背負いながら。
「でも――よろしいのですか? あれを渡しても――いえ、それより」