銀棺の一角獣
「伝承を受け継ぐためには、カレンの神殿に赴く必要があるのだそうです。そこで神官長から伝承を授けてもらわなければならないのだという話でした」

「……難しいね」


 キーランは両腕を組む。さすがにアルティナをライディーア国内にまで戻すのは、彼の力だけでは無理だ。


「……君はどうしたい?」


 アルティナは黙り込んでしまった。どうしたいと聞かれても困ってしまう。アルティナ自身、まだどうするべきか決めかねているのだ。


「わかりません――このお城を出られるのならば、行きたいと思っているのですが」


 アルティナは、考えながら言った。


「その神官長とやらをここに呼ぶわけにはいかないのかな? ここで授けてもらえばいいと思うんだけど」

「……それはわたしも思ったのです」


 いくら何でもこれ以上キーランの好意に甘えるわけにはいかない。神官長の持っている情報を教えてもらい、ライオールと対峙するつもりだった。

 けれど。
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