誰かが始める断片劇
「ハディスー。クッキー作ったけど食べる?」

「食べるよ」

「……美味しい?」

「ん、美味しいよ。どうしたのこれ」

「暇だから作った」

「へぇ……君は器用だね」


 ♪


「ねえリオン」

「どしたのハディス」

「クッキー作った」

「へぇ、くれるの?」

「うん」

「じゃあいただき…………」

「……どうしたの?」

「……いや、なんでも」

「……」

「(もぐもぐ)」

「ねえ」

「……ん?」

「美味しい?」

「…………体に良さそうな味だったよ」

「……なんで目を逸らすの?
……もしかして」

「……あ」

「…………ごめんねリオン。私、料理下手で」

「……まあ、このご時世、料理できなくても生きていけるから」

「…………」


 ♪


「ハディス」

「……ん?」

「その手、怪我でもしたの?」

「……料理の練習して、火傷した」

「なるほど」

「…………」

「ハディス」

「……?」

「今度なにか作ってよ」

「……うん」


 ♪


「リオン」

「ん?」

「弁当、作ってきたんだけど……食べる?」

「うん、食べる」

「……じゃあ、はい」

「いただきます」

「……どう?」

「……普通に美味いよ」

「本当に?」

「うん」


「よかった」


 ♪


「ハディスー」

「なに?」

「弁当作ったけど食べる?」

「うん」

「はい、どうぞ」

「いただきます」

「……どう?」

「……リオンはいいお嫁さんになれるね」

「なれないよ!?」


 ♪


「リオン。ちょっとこっちに来て」

「どしたの?」

「はい」

「……いや、はいってリボンの紐渡されて僕にどうしろと」

「つけて」

「……なんで?」

「似合いそうだから」

「君はたまに、僕のことを変な目で見るよね……」


 ♪


「ハディス。ちょっと来て」

「……どうしたの?」

「リボンつけてあげる」

「……いいよ。似合わないし」

「あ、逃げた」


 ♪


「リオン」


「ん?」


「明日もこうしていられるといいね」


「そうだね」
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