誰かが始める断片劇
「ん……どしたのハディス。今日はやたら暗いじゃん」


少年にしては、やや高い声が響いた。


「あ…………リオン」


振り向けば、そこにはリオンがいた。


よかった、旅立つ前に、もう一度会えて……。


「……なんか、ホントに暗いけど、どうかした?」


気遣わしげに尋ねる彼に、私はなんでもないと首を振った。


「はいダウト」


でも、すぐにバレた。


「で、いったいぜんたいどうしたのさ?」


私の心情などお構い無しに尋ねるリオン。


そんな彼に、私は言った。


「……たまに思うんだけど、君って本当に卑怯だよね」


「いや、そんなしみじみと言われても対応に困るんだけど」


リオンはそう言いながら頭をかいた。
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