誰かが始める断片劇
私は、話した。
明日、勇者として邪神を倒しにいくことを。
「はぁ、そりゃ大変だねぇ」
しかし、それを聞いたリオンの反応は、何処か他人事のようだった。
「……それだけ?」
「いや、だって僕は勇者じゃないし、旅立つわけじゃないし、魔王やっつけるとかそういうのはゲームだけで十分なわけだし、ぶっちゃけそういうめんどくさいのは誰かやってよーなわけだし」
いつもの、軽い調子でそう言った。
「君は……そういうところは相変わらず冷たいね」
「じゃあ君は、僕になんて言って欲しいんだい?もしかして『頑張って勇者様!』とか『死なないでっ!ハディス様』とか言ってほしいの?うわ、自分でやっといて寒気がする!」
何故か、『』の部分は裏声だった。
でも、確かに凄い寒気がした。
「……今、僕に対して何か失礼なことを考えなかった?」
そして、相変わらず鋭い。
「まあ、冗談はこのくらいにして」
「冗談だったの?」
「うん。ていうか僕の発言は、『厳しさ100g』、『優しさ5g』、『冗談15Kg』で錬成されています」
「そういえば、そうだね」
「いや、そこはツッコむとこなんだけど」
「ふふ、君と話してると、明日旅立たなければいけないことを忘れてしまうよ」
「え、じゃあ、忘れちゃえば?どうせ他の勇者がなんとかしてくれるから」
「ふふ、それも、いいかもね」
それは、冗談のつもりでもあったし、私の本音でもあった。
「あはは、サボっちゃいなよ」
明日でお別れ、だけど私達は、それでも、暗くなるまで、いつものように冗談を言い合っていた。
明日、勇者として邪神を倒しにいくことを。
「はぁ、そりゃ大変だねぇ」
しかし、それを聞いたリオンの反応は、何処か他人事のようだった。
「……それだけ?」
「いや、だって僕は勇者じゃないし、旅立つわけじゃないし、魔王やっつけるとかそういうのはゲームだけで十分なわけだし、ぶっちゃけそういうめんどくさいのは誰かやってよーなわけだし」
いつもの、軽い調子でそう言った。
「君は……そういうところは相変わらず冷たいね」
「じゃあ君は、僕になんて言って欲しいんだい?もしかして『頑張って勇者様!』とか『死なないでっ!ハディス様』とか言ってほしいの?うわ、自分でやっといて寒気がする!」
何故か、『』の部分は裏声だった。
でも、確かに凄い寒気がした。
「……今、僕に対して何か失礼なことを考えなかった?」
そして、相変わらず鋭い。
「まあ、冗談はこのくらいにして」
「冗談だったの?」
「うん。ていうか僕の発言は、『厳しさ100g』、『優しさ5g』、『冗談15Kg』で錬成されています」
「そういえば、そうだね」
「いや、そこはツッコむとこなんだけど」
「ふふ、君と話してると、明日旅立たなければいけないことを忘れてしまうよ」
「え、じゃあ、忘れちゃえば?どうせ他の勇者がなんとかしてくれるから」
「ふふ、それも、いいかもね」
それは、冗談のつもりでもあったし、私の本音でもあった。
「あはは、サボっちゃいなよ」
明日でお別れ、だけど私達は、それでも、暗くなるまで、いつものように冗談を言い合っていた。