誰かが始める断片劇
邪神は強かった。


世界各地から集った私達勇者4人で、今立っているのは私だけだ。


他の三人は死んだか、意識を失っているのかはわからないが、戦力としてはアテにできない。


ここからは、私一人で戦う。


私の体は傷だらけで満身創痍。


だけど、それは邪神だって同じだ。


「なあ勇者」


戦いの最中、邪神が話しかけてくる。


まるで友人に語るような気楽さで。


「この世界、狂ってると思わないかい?」


斬撃と共に問いかける。


「さあね」


答えと共に、斬撃で迎え打つ。


魔剣と聖剣がぶつかり、鳴り響く金属音。


「それじゃあもう一つ質問だ。お前は僕を殺すのか?」


「そうだね。それが私の使命だからね……質問はそれだけかい?」


「ああ……そうだね」


魔王は頷き、私から距離を取った。


「こいよ勇者。といっても、僕はゲームのラスボスみたく負けるつもりはないけどさぁっ!」


魔王が再び、剣を構え直す。


「……全力で君と戦うよ」


私はそれだけ呟いて、剣を握る手に力を込める。




さあ、はじめよう。


最後の戦いを。


そして終わらせよう。


私の、勇者としての使命を。


そして――――
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