誰かが始める断片劇
ここ数年、私はリオンとほとんど会ってない。


彼は私が邪神を倒した一年後。


旅に出てしまったから。


本当は、私も行きたかったけど、当時の私は日常生活はともかく、旅ができる状態じゃなかった。


だから私は、ただ彼が帰ってくるのを待つ。


彼の心配はしない。


あれから一年。


彼は、強くなった。


たぶん、今の彼は私が一番強かったあの頃よりも、純粋に強い。


……ちょっと悔しい。




リオンは、たまに手紙を送ってくる。


その手紙を信用するなら、彼は世界の平和を守るのに忙しいらしいのだけれど………。


嘘っぽいね。


まあ、それはそれとして、私は現在、退院して、故郷で静かに暮らしている。


両親は、私が小さい頃に死んでしまっているので、この家には私しかいない。


そして師匠は、あの日別れてから、一度も会っていない。


ただ、「あなたに教えることはもうなにもありません」という伝言だけ残していなくなった。
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