誰かが始める断片劇
「ごめんなさい」


「よし、許す」


許された。


しかし、なにからだろう。


それから、私達はたくさん話をした。


どうしようもないくらい、くだらないことを、延々と語り合っていた。


それは、私にとってとても幸せなことだった。




「リオン」


「ん?」


呼びかけると、リオンはキョトンとした顔で私を見つめた。


「君は、これからどうするの?」


「明日旅に出るつもりだけど?」


私が尋ねると、リオンは淡々と答えた。


「……リオン」


私はもう一度呼びかける。


「ん?」


リオンは首を傾げる。


「私も、ついていっちゃ、駄目かな?」


「へ?」


彼にしては珍しく、本気で驚いたような顔になった。


「私は、君と一緒に旅がしたい」


「……ハディス?」


「正確には、君と一緒にいたい。君のそばにいたい」


「んーと……その、なんというか」


「何?」




「君ってほんと、クーデレだね」




「…………」


その発言が、照れ隠しなのか、本心から出た本音だったのかは、よくわからなかった。
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