誰かが始める断片劇
その後、リオンは師匠の奢りでアイスを食べていた。


「ふぅ……思わず本気を出してしまった」


なんてことを言ってるリオンは無視して私は、


「師匠! あんなの卑怯です!」


師匠に抗議していた。


大して師匠は穏やかな表情で頷いて、


「そうですね。しかし、あれが戦場ならハディスは負けた敵を見逃して間抜けにも殺されたということになってましたね」


「うぐっ………」


反論出来なかった。


そんな私を、リオンは意外そうな表情で見ていた。


「……何?」


先程のことを、まだ根に持っていた私の顔は、さぞかし不機嫌だっただろう。


「いやぁ、君でも感情的になるんだなぁと」


「君は私を何だと思ってるんだい? 私だって人間なんだ。感情的にだってなるよ」


「あはは、だよね~」


そう言って笑うリオンは、なんとなく、何処か達観としていて、自分よりも歳下であることを少しだけ忘れさせた。
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