約束の花~命と恋の物語~
「ねぇ祥、それなに?」
亜弥は俺の手元をじっと見る。
もう指差す事さえできない。
「あぁ…これ?…ビデオカメラ。」
「なんで?」
…亜弥と俺は今、辛いけど幸せだ。
だから…
「将来、結婚して、子供産まれて…そしたら見よう。今病気と戦ってる亜弥を、大人になって、子供と一緒に見よう。…今、幸せだから」
亜弥が笑う。
「思い出づくりかと思った」
…そんなわけないよ、亜弥。
「お前は俺の生きる希望だ。お前は死なない。絶対に」
俺は亜弥を抱き締める。
もう俺の背中に手を回す事もできない。
わかってるから、大丈夫。
大丈夫だから、抱き締める。