約束の花~命と恋の物語~
トンッ
…?
トンッ
亜弥がベッドに付いてるテーブルを叩く。
手を動かせないから静かに当てるって感じだけど。
「あぁ…ボード?」
俺は病室の引き出しに入ってるボードを取り出す。
ボードは、ひらがなが書いてある板。
脊髄小脳変性症で喋れなくなった患者用の、専用ボード。
亜弥は静かに文字を指してく。
「な」
「ん」
「か」
「あ」
「っ」
「た」
…心配してくれてるのか…。
「何も…ないよ…」
俺がそう言うと亜弥は、うっすらと笑って、