約束の花~命と恋の物語~



俺が聞くと亜弥は一瞬照れて、


静かに、話し出した。


「あたしね、カメラマンに…なりたい」

「カメラマン?」


何で、カメラマン?


「うん。この世界にはさ、病気の人が多いじゃない?」


…まぁ、たくさんいるよな…。


「そういう人たちって、多分生きる希望を失ってると思う」


生きる…希望


「だからね、あたしはそういう人たちにこの白浜海岸みたいな、綺麗な風景を写真にして届けたいの。それで、少しでも生きる希望を取り戻してくれたらな、って」


そう話した亜弥の顔は、


“本気なんだ”


そう言っていた。


でも、その理由なら、



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