幻月幻夢
紫刹がそう言い部屋から出ると、ヒッポグリフも部屋から出ようとする。


「ヒッポグリフ、待って!」


『何でしょう?』


「あなたはここにいて。」


『あなたは王になるお方。そんな恐れ多いことできません。』


「お願い!1人にしないで!」


1人にされたら不安で頭がおかしくなりそうだ。


「お願い・・・」


目から涙が溢れる。


『・・・わかりました。泣かないでください。王よ。』


「私は王じゃないわ。ヒッポグリフ、私には桜花っていう名前があるのよ。」


『桜花様・・・素敵なお名前ですね。』


「あなたには名前はないの?」


ヒッポグリフとは、生き物の種類だ。


ちゃんとした名前があるはず。
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