幻月幻夢
『ありません。』


「えっ?」


『私には名前がありません。』


「どうして?」


『私が獣だからです。』


「獣だからってそんな・・・。」


『それが当たり前です。そんな驚くことではございません。』


「でも名前がないなら呼びづらいわ。そうだ!名前、考えてあげる。」


そういうとヒッポグリフは元々真ん丸な目をもっと開いた。


『そんな・・・私なんかに名前など・・・』


「私がつけたいの。そうね、鳥勾はどう?」


『ちょうこう?』
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