幻月幻夢
第三章
「う・・・」



「お目覚めになりましたか?」


目が覚め声がした方を見ると、私より少し年下くらいの女の子が私を見ていた。


「あなたは?」


「私は、今日から桜花様に仕えさせて頂く紀良と言います。」


「紀良、あなたは人間なの?」


私がそう聞くと紀良は首を横に振った。


「いいえ、私は獣です。」


「幻獣?」


「そんなご立派なものではございません。私は、兎です。」


「兎?」


「はい。兎です。」


「その姿見てみたいわ。」


「良いですよ。」


紀良はそう言ってほほ笑むと、みるみる体が縮んでいく。
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