幻月幻夢
「我々は、この龍をくい止める。早く行け。」


「でも・・・。」


「お前がいると足手まといだ。」


紫刹の言葉が胸に刺さる。


『桜花様、私たちは大丈夫です。すぐに追いつきますから。ズラトロク、桜花様をお願いします。』


『ああ、絶対に守る。王よ失礼する。』


「わっ!!」


ズラトロクの角で体を持ち上げられ、背中に乗せられる。


『しっかりと掴まって。』


返事もする間もなくズラトロクは走り出す。


私は反射的にズラトロクにしがみついた。


早いせいで後ろを振り返る余裕もない。


私は落ちないようにただ必死にズラトロクにしがみつき、ズラトロクは走って行った。





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