幻月幻夢
「ふざけないで!」


「ふざけていない。本心だ。まあ、王には手を出さないから安心しろ。…帰ってきたようだな。」


ズラトロクの視線を追うと、紫刹が鳥勾に乗ってこっちに近づいてくる。


(良かった。無事みたいね。)


生きていることにホッとする。


「大丈夫みたいだな。」


紫刹は、私の目の前に来ると私はあることに気づいた。


「紫刹この血は?」


服のいたるところに血がこびりついている。


「返り血だ。」


「じゃあこの腕の血は?」


さっきから袖を伝いポトリポトリと地面に血を落とす。


「何でもない。」


「なんでもなくないでしょ?これはあなたの血でしょ?ほらっ!!!」



「っつ!!!!」


血が出ている腕を思いっきり掴むと紫刹は顔を歪ませる。



< 32 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop