幻月幻夢
「あそこに良くの?」


「ああ。先に言っておくが、今はどこ村も荒れている。」


「何故?」


どこの村も荒れているとは普通では考えられない。


私の言葉に紫刹は眉に皺を寄せ口を開いた。


「前も行っただろう?王がいないとこの世界は荒れる。だから今から行く村も衝撃はあると思うが、お前は王になる者だ。受け止めろ。」


(私は王にはなりたくない…家に帰りたい。)


「…これからの光景を見て考えてみろ。」


私の気持ちを勝手によみ紫刹は歩き始める。


「行きましょう。桜花様。」


いつの間にか人の姿になった鳥勾の言葉に頷き、私たちは村を向かった。


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