幻月幻夢
「ならば、これからどんなことがあっても国のことだけを考えろ。」


「どういう事?」


「国を良くするには犠牲がつきものだ。これから、国のために沢山の犠牲がでるだろう。」


「犠牲ってそんなの嫌よ!」


私がそういうと紫刹は眉間に皺を寄せ、目を細めた。


「綺麗ごとを言うな。そんなのは無理だ。いつの時代も犠牲があり国がつくられてきた。」


確かに紫刹の言うことが正しい。


だが、目の前で困っている人がいたら国のための犠牲だと見捨てられるだろうか?


いや、私にはできない。


救えるだけ人を救いたい。


自分の血はこの国では、特効薬になる。


(もしもの時は、私の血で・・・)


「馬鹿なことを思うな!!!」


急に紫刹が怒鳴り、私を睨みつけた。


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