幻月幻夢
「何?…っつ!痛い。」


紫刹は私に近づくと肩を両手で強く掴んだ。


「前も言っただろ?簡単に血を与えようとするな。」


「っつ…紫刹。肩痛い…。」


紫刹の手の力が少しずつ強くなっていき、目に涙が浮かぶ。


「っつ!!!悪い。」


私の顔を見ると紫刹は、ハッとして手を離し私から離れた。


「悪かった。だが血を他の奴に与えることは考えるな。」


紫刹はそう言うと部屋から出て行ってしまった。


まだ肩に痛みがあり擦ると、紀良が私に近づいてきた。


「大丈夫ですか。」


「ええ。でもあんなに怒らなくても良いじゃない。」


私がそう言うと紀良が俯いた。


「紀良?」


「本当は言わないように紫刹様から言われているのですが…桜花様に話したいことがあります。」


「話したいこと?」
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