幻月幻夢
「もしかして、他の人に血をあげすぎてしまったの?」
「はい。そして前国王が最後に血を与えた相手が紫刹様だったのです。」
「え?紫刹に?」
「はい。長い闘いの中で紫刹様は獣たちに囲まれ一斉に襲われたため命にかかわる傷を負いました。城の中に運ばれた紫刹様は意識もなく生死の境目にいたのです。その時前国王は、もう殆ど残っていなかった血を紫刹様に飲ませ命を落としました。」
「そんな…」
「紫刹様は、その数日後に目を覚ましましたが前国王はすでに埋葬しており前国王が亡くなったことを知った時の紫刹様の顔は、今でも目に焼き付いて離れません。」
そんなことがあったなんて知らなかった。
だから紫刹は、私が他の人に血を差し出すことに怒ったんだ。
もうこんな辛い思いをしたくなくて…
「私、紫刹の前で言ってはならないことを言ってしまっていたのね…」
「知らなかったのですから仕方がありません。ですが、どうかご自分の体を大切にしてください。桜花様まで前国王のようになってしまいましたら紫刹様はきっと壊れてしまいます。あの方はまだ自分を責め続けています。自分がもっと強かったらと…」
「はい。そして前国王が最後に血を与えた相手が紫刹様だったのです。」
「え?紫刹に?」
「はい。長い闘いの中で紫刹様は獣たちに囲まれ一斉に襲われたため命にかかわる傷を負いました。城の中に運ばれた紫刹様は意識もなく生死の境目にいたのです。その時前国王は、もう殆ど残っていなかった血を紫刹様に飲ませ命を落としました。」
「そんな…」
「紫刹様は、その数日後に目を覚ましましたが前国王はすでに埋葬しており前国王が亡くなったことを知った時の紫刹様の顔は、今でも目に焼き付いて離れません。」
そんなことがあったなんて知らなかった。
だから紫刹は、私が他の人に血を差し出すことに怒ったんだ。
もうこんな辛い思いをしたくなくて…
「私、紫刹の前で言ってはならないことを言ってしまっていたのね…」
「知らなかったのですから仕方がありません。ですが、どうかご自分の体を大切にしてください。桜花様まで前国王のようになってしまいましたら紫刹様はきっと壊れてしまいます。あの方はまだ自分を責め続けています。自分がもっと強かったらと…」