もし、君の涙を拭えるなら
くまのぬいぐるみを、上に掲げた。






「明日、ちゃんと話せるかな?私、人としゃべるの苦手なんだよね。」






くまは、その大きくて、黒い目で、私をじっと見ているようだった。






「優子が、言うみたいにさ、人生変わるかもだけどさ、変わらない確率の方が大きいよね。」






くまは、何も言わない。






考えたって、何も始まらない。






私は、くまをベットの横に座らせた。






私がつけてあげた、ピンクのリボンが、暗い中でもよく目立つ。もう、何年も前につけてあげたので、ほつれてきている。






今度、リボン取り替えてあげよう。






私は、目を閉じて、眠りについた。






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