しゅわしゅわさいだー

Souta side



『本日は車両点検の為、ダイヤが乱れております』


うわ、最悪だ。

この通勤通学ラッシュ時に車両点検なんかするなよ。

って、まぁ、仕方ねぇよな。


暫くすると、やっと地下鉄が来た。

あぁ、苛々するくらいの人の量…。

車内は人だらけで身動き一つもとれやしない。


ガタン、と電車が揺れたと同時に足に感じる痛み。


「すみません!」


慌てて頭をペコペコ下げて謝るのは、茶色いローファーで俺の黒いローファーを踏んだ女の子。


「…そっちこそ大丈夫ですか?」

「あ、は、はいっ!」


俺の顔を見上げ、ぼんやりする彼女に不覚にも可愛い、と思ってしまったんだ。
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