君が好きな理由。

 マリア、というのは私の本名じゃない。
かといって、親しみをこめたニックネームなんかでもない。
「聖女」か「悪女」か―。
整いすぎたこの容姿から、いつしかそんな風に呼ばれるようになった。
男にはまるで聖女のように、女にはまさしく悪女に。
そんな私をまさしく言いえた2つ名。

それが、マリア。

 でもね、周りがどう思っていようと私には関係ない。
だから、告白してくる男にはみんな「いいよ。」って言う。
だってその男は私というお飾りと付き合えればそれでいいんだろうし。
私はその間、ほかの男が寄ってこないから助かるし。
蔑んだ目で見てくる女もいるけど、そんなの興味ない。

だって。
恋愛なんて、ただの利害一致でしょ?

< 5 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop